嘗てベナル大災厄の舞台となった都市。

あれから10年が経過し、この都市にも再開発の話が何度も持ち上がった。

忌まわしい記憶を風化させる事はよくないが、いつまでも過去に縋りついていてもいけない。

新しい都市を再建し、以前よりも住みよい街づくりを。

どこぞの市長だか市議だかが言い始めた都市再開発プロジェクトは、その市長だか市議だかの死によって頓挫した。

開発工事が進行途中だったある日、変死体になって工事現場で発見されたのだ。

まるで獣が何かに群れで襲われ、体のあちこちを食い千切られたかのような、凄惨な死体だったという。