そこは。

「……!」

『明けても、更に暗い闇』だった。

テーブルがあった。

真っ白なテーブルクロスを掛けられた、清潔感溢れるテーブル。

その上に、数々の『料理』が並べられている。

席について、一人の男がディナーを楽しんでいる。

洗練されたフォークとナイフの扱いで、『料理』を切り分け、口に運ぶ。

咀嚼の音が、青ざめたセシルとマーフィの耳に届く。

「美味いな…やはり若い肉は柔らかく、舌触りも滑らかだ」

男はナプキンで口許を拭くが、口端から滴る肉汁は後から後から溢れてくる。

吸血鬼が、次の『料理』を運んできた。

「おぉ…これはまた美味そうだ」

皿に盛り付けられた『料理』を、男は爛々と目を輝かせて見つめる。

「雄は肉の弾力と野性味を愉しめるが、雌は蕩けるような脂と肉の甘みが魅力だ」

そう言って、男は切り分けた『料理』を頬張った。

……先程まで、この屋上で救助を待っていた『生存者』を。