だが、怪異駆逐対策局の隊員の生き残りは、もう彼ら二人だけ。

何か打開策がある訳でもない。

要救助者を救出し、この状況を何とかする為には、僅かな可能性にでも賭けるしかない。

その為にはまず、事の元凶を突き止めなければ。

「邪悪を追おう」

ゆっくりと歩いて行く邪悪の背中を見つめながら、マーフィは言った。

その言葉が邪悪の耳には届いたのか。

マーフィの決断を聞いた邪悪が、どんな表情をしているのか。

背を向けたままの彼の顔は、窺い知る事は出来ない。

…罠かもしれない。

言葉にはしないものの、セシルとマーフィの胸には、そんな言葉がよぎっていた。