ゴツ、ゴツ、と。

分厚いソールの革のブーツの足音が響く。

決して早足ではない。

一歩一歩、踏み締めるように。

その足音は、腐って抜け落ちそうな木板の廊下を歩く。

…廃墟だった。

扉も窓も、板を打ち付けて入れないようにしてあるような廃墟。

白壁には蔦が這い、敷地内には雑草が生い茂っているような。

人が住まなくなって久しい屋敷だった。