ドッペル・ゲンガー

「ふぇー、生き返る……」

 バスルームを出てお母さんとバトンタッチすると、私は洗面台で髪を乾かし始めた。

 もともと多めのセミロングの私の髪はなかなか乾きにくい。

 じめじめするのは気持ち悪いので、入念にドライヤーの風を当てていった。

「お母さん、私先寝るね?」

 バスルームの扉越しに一声かけると、「おやすみ」と少し反響した声が返ってきた。

 自分の部屋に向かう前にちらっと彰吾に目を向けると、もうゲームは飽きたのかテレビにはお笑い番組が映し出されていた。

 最近の小学生ってこんなに夜更かしなのかな。

 よその家庭の事情は知らないけど、何となくそんな事を考えながら「彰吾も早く寝なさいよ」とだけ残して私は自分の部屋へ向かった。