不便だけど、繁華街のお店なんてどこも似たり寄ったりだろう。

 一応ここは市内の一等地。

 大してキャパのないテナントでも、家賃は相当なはずだ。

 その限られたスペースで、かかる経費を差し引いて利益を出そうと思えば、ゴールデンタイムにどれだけお客さんを入れる事ができるかが重要になってくる。

 当然、従業員のためのスペースは真っ先に縮小される。

 それは仕方のない事。

 とは言っても、着替えぐらいのびのびのできないもんかな……

 今更もう慣れっこだけど、あまりの狭さに溜息が漏れる。

 足元に視線を落とすと、ミニサイズのカンガルーみたいなネズミと目が合った。

 繁華街のネズミは図太い。

 目が合ったぐらいでは逃げ出す事なんてない。

 そいつはゆうゆうと私の足元をすり抜けて、出てきた隙間とは反対側の隙間へと姿を消した。