ドッペル・ゲンガー

「ちょっと、待って……もう、限界……」

 膝に手をつき、大きく肩を上下させながら私はその場で声を上げた。

 途端に全身から汗が噴き出す。

 サッカー部エースの透と、平凡な女子高生の私とでは運動能力に差があり過ぎた。

 透もそれに思い当たったのか、申し訳なさそうな表情を浮かべてこちらに歩み寄ってきた。

「悪い。焦り過ぎて美咲の事考えてなかった」

 透は気まずそうに鼻の頭を掻いた。

「全……然…。でも、さすがに多少は、手加減してくれたんだろうけど、やっぱり、透と私じゃ基本的な性能が違い過ぎだね……」

 胃の中がぐるぐると回る。

 走る事に関しては、私は苦手な部類の一つだった。

「大丈夫か? ……さすがにここまで来れば大丈夫だろうから、ちょっと休んでいこう」

 座れるような場所があれば良かったけど、生憎そんなものは近くになかったので、私は仕方なく近くの電柱に背中を預けたーー