「コ、コろシテ、しマウ……」

 がくがくと全身を震わせ始めたその姿は異様としか言いようがなかった。

 まるで壊れたロボットのように不安定に体を揺らしながらこちらへと歩み寄ってくる。

「来るな……」

 声が震えた。

 走ればいいと思っていた脚は、膝が完全に笑っていた。

「こっチに来いヨ……」

「来るなぁぁっ」

 伸ばされた腕を弾き返して、俺はもつれる脚で化物へと姿を変えたもう一人の俺に背を向けたーー