ドッペル・ゲンガー

「お前、誰だよ」

 言葉の意図も意味も今はどうでもいい。

 そんな事よりも、今まで誰にも相談した事のない俺の気持ちをどうしてこいつが語っているのか。

 そしてこいつは一体誰なのか。

「知ってるだろ」

「知らない」

 即座に返した言葉に、男は溜息をこぼした。

「そうやって、いつまでも見て見ぬフリをするんだな。でも、それももう限界だ。お前は決めないといけない」

「だから何を言ってんだよ!」

 叫んだ声が校舎の壁に反射する。

 自分でもどう処理していいのか分からない苛立ちが次から次へと込み上げる。

 俺は舌打ちをした。

「いい加減、こっちを向きやがれ!」