ドッペル・ゲンガー

 何をしてるんだ。

 角度が怪しくなってきたので、俺は正門に手をかけながらグラウンドの様子を窺っていた。

 視線の先にいるそいつは、おもむろにグラウンド奥の方のサッカーゴールへと真っすぐ歩いていき、ちょうど体がゴールの中に入ったぐらいでその身を屈める。

 その様子を俺は息を潜めながら眺めていた。

 サッカーボール……

 再び立ち上がったそいつはこちらに向かって半身の体勢になると、何やら手に丸い影を持ちながら視線を落としていた。

 拾った場所とシルエットからして、それは俺が学校を後にする直前にゴールに蹴り入れたサッカーボールだ。 

 サッカー部員なのか?

 こんな時間に学校のグラウンドを訪れる意味は分からないけれど、他の物には目もくれずに一直線でサッカーボールの方へと向かったのだから、全くの無関係とは思えなかった。