…と、私たちが話していると
あの、花束を置いて私に水をかけたあの子達が近づいてきた
「体育祭練習サボって彼氏作りですかー
いい度胸してるよね」
「ほんとよ〜、しかもそんな変人のどこがいいんだか」
嫌味ですか
体育祭練習行っても邪魔になるだけだし
何もすることないんだから行く意味ないし
私が黙って睨んでいると
女の子二人が固まった
「あ、と、冬織くん…」
冬織…?
聞いたことあるな…どうも私は人を覚えるのが苦手でなかなか覚えきれない
湊くんはすぐ覚えられたのにね
「へー、彼氏できたんだー
孤独な儚い少女なんて、夢か」
「は?」
そうだ、終業式の日に
邪魔と言って絡んできた人だ
確か湊くんと同じクラスの…
「永豊冬織くん…
なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないの?」
私が女の子にしたように睨むと
永豊くんはドヤ顔のような、ムカつく顔で笑ってきた
「俺の事知ってるんだー
あ、手嶋に絡むなとか言われたー?」
な、なんなの…
私にかまわないでよ本当に嫌
チラッと湊くんを見ると
湊くんは無表情でただ私の手を取った
「行くよみつば」
「え…」
湊くんの様子がおかしい
私は湊くんに手を引かれるまま
ただついて行くしか出来なかった



