二人並んで歩く道
もうすぐで花火が打ちあがるから
そんなに人は多くない
「き〜さ〜らぎき〜さ〜らぎ♪
ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜♪」
人がいないとはいえ、
手嶋くんはお気楽にそんな変てこな歌を歌っている
「何その変な歌」
「如月の歌!」
「ばーか」
何が如月の歌よ…
変でバカな歌なのに
手嶋くんが作ってくれたから嬉しく感じちゃう
「き〜さ〜らぎはツ〜ンデレッ♪
き〜さ〜らぎはツ〜ンデレッ♪」
別にツンデレではないけど…
でもすごく楽しそうな後ろ姿を見てたらこっちまで幸せな気分になる
そして、階段にさしかかったとき
楽しそうな手嶋くんの後ろ姿を見るために立ち止まってみる
「き〜さ〜らぎのみ〜つ〜ば〜♪
弟ドッペルゲンガ〜♪」
「…ぅ…」
一段一段楽しそうに降りる手嶋くんを見ていると
なぜだか泣けてきて、ボロボロと涙がこぼれ落ちる
「あ!そう言えば、きさら…ぎ…?」
何か用事を思い出したのだろうか
私を振り向きビックリした顔で見てきた
少し上から見る手嶋くんの顔は
少しだけいつもと違うような感じがする
「行かないで…」
いつもいつも私より先を行く手嶋くんが
いつか居なくなってしまいそうで…
彼女でもないくせに怖くて
不安で思わずそんなことを口走ってしまう
「バカ如月」
「なっ…」
私はこんなにも不安なのに
手嶋くんはいつものニヤッと笑顔で笑った



