手嶋くんについてきて
人混みから離れたところに座る
なんだかとても、私のことを聞いてほしくなってきた
お祭りの雰囲気のせいだろうか?
「手嶋くん、私男の人嫌いって言ったでしょ?」
「言ってた言ってた」
「それはね、父親が原因なの
でも、それは辛いから逃げようとしてるって分かってる。でも…嫌いになったの」
なんでこんなこと言ってるんだろう?
止めなきゃ手嶋くんが困っちゃう
言うのを止めようとすると、目から涙が溢れ出す
「如月」
泣いたのなんて何時ぶりだろう?
普段泣かないのに泣きだすと止まってくれない私の涙
「いいよ、無理に話さなくて」
手嶋くんはそう、優しく微笑んでくれるけど…
でも違うの…男の人は嫌い
でもね
「手嶋くんは特別だから!」
「え?」
「手嶋くんだけは、全然平気なの!」
あの日気付いたこの気持ちは紛れもない
"好き"だから
手嶋くんは黙ったままだったけど
やがて口を開く
「よし、じゃ、帰るか〜」
沈黙を破ったと思えばそんなこと…
もっと一緒にいたいだなんて
言えるわけないよ
「うん、帰ろう」



