恐る恐る振り向くと
芽命の表情が固まった











「冬織」











冬織?


どこかで聞いたことあるな…











「芽命か
っと、如月さんじゃん」











何で私の名前知ってるの気持ち悪い




背筋がゾワゾワして気持ち悪くて
私がひたすら睨み続けていると


冬織と呼ばれたその人はニヤッと笑う











「男嫌いってのは本当みたいだな
でも俺は一人ぼっちの儚げな少女って聞いたんだけど?」











何言ってんの?


なにが一人ぼっちの儚げな少女だよ











「それはあんたたちが勝手に思ってるだけでしょ、私に押し付けないで」











これだから嫌いなのよ




私は怒ってるって言うのにその男はニッと笑ったまま見つめてくる





もうやだ、本当にどこかに行って











「でもまぁ、一人ぼっちの気の強い女って感じだな」











気の強い…かぁ




本当は言い合ってる時も
男が怖いし、気持ち悪いし逃げ出したい


でもそんなの負けたみたいで…


あの時の事思い出すから我慢してるだけ




本当は強くないんだよ。






って、こんな人に言うわけないけど











「きーさーらーぎーーーー」











私の我慢が頂点に達しそうになった時

私の名を叫ぶのが聞こえた






その声はもちろん手嶋くん