「失礼します」
ノックをして診察室に入ると
少し険しい顔でドクターが待っていた
あ〜…帰りたい
「お母さんが是非みつばちゃんのことだからみつばちゃんに本当のこと聞いてほしいって言われたからここに呼んだんだよ」
「そ、そうなんですか」
お母さんらしい決断だね
きちんと背筋を正して聞く姿勢を取る
「えっとね、どうにも抗がん剤が効いてないようでね…
その…今後をどうするかという相談なんだ」
────え??
効いてない?
それってもう希望がないの…?
「どうするって…選択肢があるんですか?」
もう何もないんじゃないの…?
私が聞くと、ドクターは重たい口を開く
「このまま治療を続けるか
退院して、余生を楽しむ…という事になりますね」
こんなにも体調がいいのに
抗がん剤が効いてないの?
「わ、私は…」
こんなに苦しい治療はしたくないってのが本音
それに湊くんと色んなことをしたい
私決めたよ



