何か、言葉だ。 落ち着かせろ。 サッカーをただやってるだけ。 その言葉が改めてよぎった時、我にかえった。 「永井君っ!!」 振り返ると、女の子がいた。 と思う隙もなく、俺の体は宙に浮いた。 視界が霞んでいく。 何が起こったかも理解できない。 「ぁ…」 声も出ない。 消えていく世界の中で、白くて、小さな手と、血のついたスケッチブックが見えた。