「読もうとしてないからな!断じて!」

慎也の怪訝そうな顔を見て、察したのか父はそう言った。


「別に良いけど。読んでないならそれで。じゃ…」

慎也は、医院長室を去っていった…


***

「手紙…か。」

帰り道、受け取った未開封の手紙を見ながら歩いていた。


白い封筒に、開閉する部分に音符のシールが貼ってある、何の変哲もない手紙。

ドラマかなんかは、手紙をここら辺で読むのが主流?と聞くが、

慎也にとっては、読む気がしないのだ。



「——琴美。僕は…」

なんとはなし、立ち止まり、空を見上げ、また、歩み始めた…