「弟は…」

薄いゴム手袋を両方外し、マスクを口元の下に下げ、


「…すまない。」
申し訳なさそうに、頭を下げた。


「父…さん?」

「すまない…失敗してしまった。摘出する際、部位を…間違えてしまったんだ…すまない。」



「父さん…」
父親の顔が、青ざめているのが、慎也には分かった。


「本当にすまないと思ってる!」

「弟は…無事なんですよね⁉︎」


博が言うと、
政人は顔をあげて、何とも気難しい顔をした。


「そんな…」

「父さん…手術、失敗なの?」


「…」
政人は2人をすり抜けて、何処かへ去っていった。



博は、ペタンと地に伏していた。
そして、喚き出した。


「っ…ふ…あ、あぁー!理央…」
と…