先輩の家に着くなりすぐにタオルを持ってきてくれた。気遣いがうれしかった。
いつも通りの他愛ない話をしている時、先輩が急に言ってきた。

「真愛沙さぁー好きな人いないって言ってたよな?あれ本当?」

「本当ですよ!笑なんで嘘つかなきゃいけないんですか!笑」

少し動揺したけどうまく言えたはず…そう思って安心してた。

「先輩は、いるって言ってまし…キャッ!」

言いかけたところで先輩に引っ張られてキスをされた。短かったけどあきらかにキスだった。

「ちょっ…先輩!何してるんですか?」

そう焦って言うと先輩は落ち着いて答えた。

「俺さ…お前としゃべってて楽しいしなんか落ち着くんだ。多分好きなんだと思う。でも俺なんとかしてでも野球で高校行きたいんだ。受験終わるまで待ってくれるか?」

先輩がいつも以上にかっこよく見えた。もうこの時私の頭の中に友達の存在なんてなかった。
勝手に首を縦にふっていた。だって好きだったから…。ほんとにほんとに好きだったから。

「受験終わってから絶対連絡するから。それまで待ってて。絶対に。」

先輩はそう言うともう1度私の唇に自分の唇を重ね合わせた。次のキスはちゃんとキスの味がした。この時はほんとに幸せだった。


でも、いつになっても先輩からの連絡はなかった。約束は守られなかったんだ。