フェイは、俯いていた顔を上げ、私の目をしっかりと見つめた。
その顔は、いつもへらへらと笑う幼馴染の顔じゃなくてー……


「卒業したら、僕と結婚してください」


真剣な、見たこともない表情だった。

私はただ、「幼馴染と言えど、知らない顔もあるんだなぁ」とぼんやり考えていた。
ただ、手が震えはじめて止まらなくなっている。

どうしたんだろうか、私は。



「あのね、だからね…ランディ。」


フェイは笑う、いつもの顔で


「僕と、家族になってよ」


その優しい笑顔で、笑って、震える私の手を優しく取り、薬指に銀のリングをはめた。

家族。

そっか。

フェイは、私の―……

ただはらはらと涙が頬を伝い、私の手を握るフェイの手の甲にぱたぱたと落ちた。




私は、気づけば口にしていた。








「……はい」