コーヒーを淹れ終ったのか、マグカップ二つを手にして机に置くフェイ。
その後何の躊躇もなく私の隣に座ると、フェイの重みでまた軋むソファ

このソファも確か私が小学生の時に買ったものだ。
もうすぐ10年くらいになるだろう。

それでもソファの汚れは目立つようなものが無くて、これも毎日のように母が綺麗にしてくれていたんだと思った。
ソファも、花も……私も、ずっと愛されていたんだな。

「あと半年したら僕らも卒業だね」

隣でコーヒーを口に含みながら、静かに言葉を零すフェイ。

「私…別に一生卒業なんてしなくていいわ……」
「……どうして?」

「だって、だってもう卒業を祝ってくれる家族は私には居ないのよ!!!」

私の悲痛な叫びが、静まり返った部屋に響く。

カーテンを超えた先からは街の子供の声が聞こえて、あぁ私もあのはしゃいでいた、あの楽しい幼いころに戻りたい…なんて考えながら。