毎朝母と愛でていた花は既に枯れていた。

未だに私の頬からは涙が流れ続けてる。

もし、生きている中で流す涙の量が決まっているのなら、きっと私は一生分の涙を流しつくしたであろう。



「ねぇ、ランディは砂糖とミルク、どうする?」



フェイがコーヒーの香りを纏いながら私の顔を覗き込む。
ぐちゃぐちゃに汚れている顔を一瞬見られて恥ずかしくなった私は抱きしめていたクッションに顔を埋めた。

その動作に私の座っていたクッション材で出来ているソファが軋みを上げる。

「……砂糖とミルクは…一緒にいれちゃだめだよ。両方入れたらまろやかな甘さになっちゃうじゃない。私は砂糖ひとさじ派だけど、もしミルクを入れるなら砂糖は入れないで」

「そっか。やっぱりランディはコーヒーのことになると凄いなぁ」


流れてくる風に濡れた頬が当てられ冷たくて、その頬をクッションで必死にふき取る。
私の方を見ていたフェイは、また台所へと消えていた。