相合傘

『どうしたん?』



章平はいつもみたいに
優しい低い声で言う。





「…さっき、
章平の家行ってきた」




あたしがそう言うと
章平は少し怒ったように
こう言う。




『何で?何でなん?

何で
俺の家行く必要
あんねんな?』



「…遅いからやん!

章平がなかなか来ぉへんから
迎えにいってん!」




『……』




あたしがそう言うと
章平は黙りこくった。






「そしたらな…
そしたら…女の人おった。


章平のこと「章ちゃん」って
呼んでた……。



あの人…誰なん?」