相合傘




「あ~章ちゃん?

今用事あるとか言って
出て行ったよ?


家あがって待っとく?」




その女の人は
優しかった。




でも…「章ちゃん」と



呼んでることが胸に


引っかかった。





それでもあたしは


幼なじみかなんかやろう…



そんな軽い気持でおった。




「あ…ええです。
もう帰りますんで…」





あたしは精一杯の
強がりでそう言った。