「じゃんけん?なんでですか?」 「どっちが買いに行くか」 「何を買うんですか?」 「煙草」 そこで俺は、彼女が探していたものが煙草だとわかった。 「自分で買ってきてくださいよ」 第一、どの銘柄を買えばいいのかもわからない。 コンビニでアルバイトをしているとはいえ、銘柄で覚えているのは、せいぜい、メビウスかラーク、クールくらいなものだ。 「出さなきゃ負けよ、じゃんけん・・・」 このノリは嫌いだ。 「ポン!」 掛け声とともに、俺はグーを出した。 女性はパーだった。