僕は走り出した。 というか、僕も僕が走り出していることに気づかないほど、早く走り出していた。 なぜだろう。 腕に伝わる今まで感じたことのない体温。 掴まれている。 女の子に腕を掴まれ、僕は走っている。 公園を抜け、階段を駆け上がり、そして、河原の土手を滑り落ちる。 膝を擦りむいた。