風見は俺と同じ委員会だから何度かは話したことがある。

背が低くて、メガネをかけていて、いかにも真面目な委員長って感じ。

そんな真面目な奴がこんな時間やぶってまで、男の部屋に来るって…

あ、真か?

昨日の夜も真は隣のクラスの女子に呼び出されてた。

まあ確かに人気なのは仕方ない。

「よ!速水!今平気?」

派手な方、たしか…瀬南が言う。

「真なら今風呂に行ったけど。」

「違う違う!一ノ瀬じゃなくて、あんたに!ほら、菜穂、がんば!」

そういって風見の肩を叩くと、瀬南はさっさと廊下を走って行ってしまった。

残された俺と風見。

何だ、この沈黙。

瀬南はさっき俺に用があるって言ってたよな?

「…あのっ!ちょっといいですか?」

メガネの腰の瞳が少し潤んでいる。

風見の頬は真っ赤だ。

俺は部屋の外に出て、廊下のすみに移動した。

ここなら多分、ひと目が付かない。