いやあ、しっかしみんな浴衣似合ってるよな。」

女子たちがトイレに行ったあと、梓が大きな声で言う。

だから嫌だったのに。

さくが祭りに誘いに来たとき、一瞬うかれた自分を恨む。

やっぱり二人で無理矢理でも来るんだったな…

玄関先に立つさくに思わず何も言えなくなってしまうほど、情けないけどさくに見惚れた。

薄いピンク色の浴衣、いつもおろしている髪をアップにして見えた白いうなじ。

本当に、可愛くて、綺麗で。

誰にも見せたくなかった。

本当は独り占めしたかったのに。

「真、未来ちゃんの浴衣姿に呆けてる?なんか今日、ボーッとし過ぎじゃない?」

梓は上の空の真の目の前で手を振る。

確かに、今日は珍しく真がおとなしい、というかこころここにあらずってかんじだ。

「おまたせー!」

そうこうしているうちに女子たちが帰ってきた。

時間もうすぐ九時。

「よし、そろそろお開きにしますか!」