「成仏探偵!?変な名字なんですね〜。」
               完全になめられていることは青年にはわかった。そして青年は静かに彼女の頭に手をおいた。
               「キャ!何するのよ!」
               彼女は叫んだ。だが、だんだんと全身が溶けていく感覚に陥った。
               「少し記憶を見させて頂きました。幽霊の方は記憶まで消えて、自分自身では死んだ理由さえも思い出せない場合もありますからね。記憶あまりなかったでしょ?」
               はて?みたいなポーズをとった彼女はもう死んだ記憶さえも危うく消えてしまうところだった。
               「てゆーか、私の記憶を勝手に見るなんて、なんかあれよ…あれ…そう!セクハラよ!あんたの記憶も見せなさいよ!」
               「いやぁ〜無理でしょう。」
               昔人気のあったプロ野球選手のモノ真似をしたが、いまひとつだったのはいうまでもない。だが彼女は一転して話を切り出した。
               「私みたいな幽霊になった人をなぜ成仏させようとするのよ?あなたの真の理由は何?まさか、テレビにでも出て、ガッツリいこうとか思っているんじゃない!?」
               青年は真面目な顔をして答えた。
               「そうですよ。ガッツリいかせて頂きます!」
               彼女は呆れ、後ろを向いて肩をおとした。たが、耳に入ってきた言葉は彼女をまた振り向かせることになる。
               「無視できない、それが理由です。」