ようやく病院から出た二人はまだ口論をしていた。
               「大体ね幸子さん、死が近い人は幽霊が見えてしまうなんてことはないですよ!どこからの情報ですか!?」
               「だって、有名なお坊さんが言ってたもん!」
               このような低レベルな会話をしながら青年は病院の前にとまっていたタクシーに乗った。
               幸子の話によると、幸子の実家は病院から少し遠いらしい。
               「あの〜多賀根村ってここからどのくらいかかりますか?」
               「多賀根村?えっと〜、約一時間はかかりますかね。」
               青年は決心した。
               「行って…ください。」
               約一時間後、青年は少し泣きそうになりながら、幸子の実家に着いた。多賀根村は都心部からかなり離れた所にあり、周りはたんぼしかない。
               「あれが私の家よ!結構大きいでしょ?」
               幸子が指を差した先には、大きいどころではなく豪邸といってよいほどであった。
               「幸子さん…、かなりお金持ちみたいですね。」