なんか変なもん食べたっけ?
あ、あれだ。風邪引いたんだ。なんか朝からだるい気がしてたんだよね。
それか、あれかな、高橋にドキドキしちゃうような菌にでも侵されてんのかな
なにそれ最悪。
そう疑うくらいにはありえないことだと思う。結構真面目に心臓の病気なんじゃないかと思う
いつのまにか、ベッドから立ち上がっていた高橋が、
一歩、また一歩、真剣な顔であたしに近づいてくる。
だけど、あたしは足を動かせずに、ドアの付近で立ったまま。
「自分のこと好きじゃない子は襲わないんじゃなかったの」
やっと絞り出したのは、情けない声。
小さくて、弱々しくて、震えてる。
「おれが好きな子は、別なんだよ」
うまく逃げられないのは、いつかこうなるってわかってたからなのかもしれない。
「なに、言ってんの、ふざけんな。さっき、なんもしねーよって言ってたじゃん」
「気が変わったんだよ、てか、おれ真面目なんだけど?」
この気分屋が。
でも、あたしも、好きなわけじゃないけど、別にいいかなって、思ってる、かも。
やっぱ、今日、変だな
「おれ、本気だよ」
好きなわけじゃないけど、いつでも、こころの準備はできてるつもりで、いた。
現実は、全然だめで、
「なぁ、キス、してもいい?」
珍しく緊張した面持ちであたしを見つめながらそう言う高橋にうなずいてしまったのは、なんか血迷った、んだと思う
ちがう、ほんとは、昔から……
近づいてくる高橋の顔を見つめながら、ずっとずっとしまい続けてきた気持ちを、高橋への想いを
こころのなかで、そっと、呟いた
fin.



