【完】好きなわけじゃないけど



「おれね、おれのこと好きじゃない子は襲わない主義なんだよ」


「うーわ。最低、女の敵! しねっ!」



突然口を開いたと思ったら、そんな言葉


自分の数少ないボキャブラリーの中でも汚い言葉を浴びせて。

こいつはもう、色々な意味で最低最悪


あんたのせいでドラマの結末は観ちゃったじゃんか。


あたし

たった今、こいつが大大大大っっっ嫌いになった。



もう部屋にいることすら嫌だ。

同じ空気吸うのも嫌だ。



そもそもなんであたしがこいつの部屋にいるかって、


あたしが学校から駅に向かってる途中で、高橋があたしにぶつかってきて、今朝の雨でできた深くてでっかい水溜まりにドボンさせたせいなんだけど。



おかげで制服はビッチョビチョ。


あたしの家は遠いから、今年の夏から高校の近くに住み始めたこいつの家で、しかたなーく制服を乾かしてもらってるわけです。


しかたなくこいつのスウェットとジャージを借りて身に纏わせていただいてるのですが


上の服スウェットのくせに、胸元めっちゃユルいんですけど。

しゃがんだら見えるんですけど。

そういう服渡すやつどう思いますか。あたしはマジで最低だと思う。



あたし、いまだにつっ立ったままなんだけど、他にも色々理由はあるけれど、この服も理由に含め、あたしは敵陣では座らないことにしてるのであります。



「そんな警戒すんなよ」


「無理なこと言わないでくれる」



ワイシャツのボタンを二つ、なれた手つきで外すと高橋の厚みのある胸板が覗いた


それに、無駄にドキドキしてしまうあたし。


こんなやつにときめいてしまうなんて、あたし、どうかしてる。つーか、胸板見てドキドキするって、あたしは変態か!