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「初めまして。今日からお世話になります、白鳥 恭平(しらとり きょうへい)です」

「はい、よろしくお願いしますね。マスターの芹沢です。

ケンゾーくんから話は聞いていますよ。話通り綺麗な顔立ちですね。

お酒の心得は?ちなみに飲める方でしょうか?」

「酒は好きですし、酔ったことないです。

作れるかって言われたら、嗜む程度って感じです」

「なるほど、有望です。お酒の作り方は後々ゆっくりと教えていきますので、

まずは雑用のような細かい仕事から慣れていってくださいね」

「はい、よろしくお願いします」


ケンゾーがくれた地図のお陰で迷わず辿り着けたが、
店の場所は確かにわかりにくかった。

繁華街を抜けた路地裏の一角、閑静な住宅街に入る道の手前。

派手なネオンで光らせたわけでもない店の入り口は、
知る者でなければなかなか気づかないだろう。


「いやー、助かりました。

サキくんが辞めてから、バーテンが私一人になってしまったもので」