「キョウ、誰? この子ら」

「あー、店の客」

「へえ、初めまして。キョウの友人のケンです。よろしくね」


にこりと微笑んだケンに、芹の目がハートになった。


「は、初めまして! お友だちさんもイケメンなんですね…!」

「ははっ、ありがとう。こんな時間にこんな所で女の子二人なんて危ないよ? 早く帰りな」


ケンは相変わらず外面がいいなと感心する。


「や、あたしらこれからご飯食べに行く所で…」

「へえ、奇遇だね。俺らもなんだ。ああそうだ、どっかお勧めの店ない?
できれば個室がいいんだけどさ」

「あっ、あたしらが行こうとした店とかいいかもしれないです!
最近できた店で、全席個室でイタリアン居酒屋なんですよ!」

「イタリアン居酒屋? 何それ、新しいね。面白そうだけどどうする、キョウ」

「あ? あー、ケンに任せる」

「じゃあ、俺らも着いてっていい?」

「もちろんです!!」


はあ、と溜息を吐くと、自分のものではないそれがもう一つ聞こえた。