「はい、とても。好んではやらないようで、家では一切しないと言っていましたが」

「え~何それ。作ってくれる女がいるとか!?」

「ふふ、それはどうでしょうね。あまりそういう話はしませんので」


ズキン、と胸が痛む。

あんなに格好いいんだから、女の一人や二人いてもおかしくはない。

憧れに目が眩んでそこまで考えていなかった。


「ナナ~落ち込むことないよ! いたとしても奪えばいいんだから! ね! 芹沢さん!」

「そうですね…男と女の間には何が起きるかわかりませんからね」

「ほら! 飲もう! あたし、マスターのお勧めで! 苦手な味も特に無いです!」

「かしこまりました。菜々瀬さんはノンアルコールの甘い物がお好きでしたね?」

「あ…弱ければアルコールでも大丈夫です」

「では、飲みやすい物をご用意しましょう」