ゴリゴリして、無理に嵌めようとしても 入らないだろ。

俺はそう言いたかったけど、あまりの痛みに 歯を食いしばってて そんなこと言えなかった。

カチャー
足枷が嵌ったらしい。

両足 同時に嵌ったらしい。

締め付けられすぎていて、すげー痛い。

でも、それを言ったら 騎亜の回し蹴りを食らうことになるだろうから 何も言わないけど。

足枷の突起部と棒の凹部をはめこんだ。

それによって、両足とも固定された。

「次は手……か。」

若干 面倒くさそうにして、俺の手に手錠をかける騎亜。

3本目の棒を通して、手錠をかける。

俺の身動きがかなり制限された。

「「release」」

拘束魔法が解かれ、身体の重さがマシになる。

「裁判の開始は 11:00から。
それまで、これまでの自分の行いを懺悔していろ。」

それだけを言うと、騎亜と覇悪は 裁判所から出て行った。

裁判所の中には俺1人。

広い裁判所の中に1人、というのは さっきいた 地下牢に1人とはまた違う感情が込み上げてくる。

地下牢は狭く、暗く 気分まで下げられるような気がした。

ここ……裁判所だと、地下牢とは反対 広く、明るい。

だからと言って、気分まで上がる……ということはないが……改めて、自分は1人なのだと自覚させられる。