青い記憶


「おー、始まったんじゃね?」




「本当だ。会話聞きてー」




廊下がやけに静かになる。



声は聞こえないけど、美優と橋田がなにか話している。





橋田が片手をポケットに入れて、もう片方の手で頭を少しかく。



俯いてるわけではないけど、美優の目線は明らかに橋田の顔ではない。きっと下の方を見ている。たまに少し頷くような仕草をする美優。





すると頷くというよりお辞儀のような仕草をして、橋田と反対方向に歩いていく美優。




話し終わったんだ。途端に窓を覗いていたサッカー部や他の橋田と仲のいい男子連中が上から声をかける。




「橋田ー!どうだったー?」




全く遠慮配慮の欠片もないやつら。



橋田は声をかけられて校舎を見上げるけど、覗いている人数にたじろぎもしない。



そして大きく頭の上でバツマークを作り罰の悪そうな顔をした。




「え、まじかよ?!」




また一気に騒がしくなる廊下。



同時にみんな窓からどんどんはけていく。だけどざわめきは収まらない。




「相馬まじか。橋田に告られてOKしないのはやばいな」




「やっぱり未練とか?橋田と付き合った方がいいと思うけどな〜」




「私だったら即OKするのに。元彼が森本で、今彼橋田とかすごくない?」




「まじですごすぎ。制覇じゃん。橋田ふるとかもったいな〜」




また、みんなの好き勝手な会話が廊下を飛び交う。



イライラしてきて教室に戻ろうとすると廊下の向こう側から森本くんが歩いてきた。