「あ、戻って来た」 高松のそんな声でドアの方を見れば、ちょうど穂花が戻って来ていた。 …んだよ。教科書持ってねぇじゃん。 やっぱ俺から逃げるための口実か。 そのことに、少なからず凹む自分がいた。 「穂花ー。今日の宿題見して」 いつも通り、何気なく話しかけた。 なのに。 「え?あ…はい」 ぎこちなく、ただノートを渡されただけ。 いつもなら、「ちゃんと自分でやりなよ」くらい言ってくるのに。 調子狂うな。