「あれ、穂花。今日は楢橋君見ないの?」 放課後、楢橋君を眺めようとしない私を見て、鈴菜が不思議そうに言った。 「うん。もう見ない」 あの泣いた日に決めたこと。 もう、楢橋君を追いかけない。 時間はかかるかもしれないけど、楢橋君に彼女がいる以上諦めなきゃいけないから。 …って、自分の想いから逃げてるだけだけど。 本当は、楢橋君を見てると辛くなるから。 それだけの理由。