辛いのに。



アイツの好きな奴の話なんて聞きたくないのに。




なのに自分の気持ちが言えない俺は臆病者だ。





「拓人ー!」



それでも、アイツの一番親しくできる男友達は俺だけだから。



だから、それだけでいいなんて逃げ道を作ってるんだ。






部活が始まる10分前。



俺の名前を呼びながら走ってくる穂花に、少なからず嬉しさがこみ上げた。