「阿部さん」 叶亜が玄関のところで、阿部を呼んだ。 「あ?どうした?」 「殺害現場に入っても大丈夫ですか?こいつも」 叶亜が詩音を指差した。 「……別に構わねえが。詩音ちゃん、大丈夫か?そのまんま残してあるけど……」 たしかに、殺害現場なんて生々しくて大丈夫なんて言うと嘘になる。 でも、何か手がかりがつかめるかもしれない。 「はい。大丈夫です」 詩音は力強くうなずき、家の中へ入った。