やっぱり、開いている。 暗い商店街にひとつだけ明かりが点いている喫茶店。 その喫茶店のドアを開けると、カラン……とドアについている鈴が揺れた。 カウンター席の向こうの棚に、コーヒー豆の入ったビンがずらっといくつも並んでいる。 店内を流れる静かな蓄音機が、夜の商店街の雰囲気を醸し出しているよう。 「……あいっかわらず、不気味な喫茶店だな」 そう呟きカウンター席に座ると同時に、カウンターの奥から車椅子に乗った叶亜がやって来た。