良いこと? 「何ですか?バカとかそういうのはやめてくださいね」 「お、自覚してるだけえらいな」 「褒めるのか、けなすのか。どっちなんですか!もう!」 詩音が頬をふくらますと、叶亜がクスッと笑った。 その顔が子供みたいで、すこし可愛く思えてしまう。 だけどその次の彼の言葉は、詩音の心に深く刻まれるくらいに悲しかった。 「僕がなんでこんな哀しい言葉しか言えないのか。それは…… ――……僕自身が夢に捨てられたからだよ。淡い期待なんて抱いてたら、いつかバカをみる」