「私、見たんだよねー。詩音がお土産屋でマグカップを二つ買ってるところ」 やばっ……。 詩音は「ははは」と愛想笑いしながら、視線をそらす。 「しかもその二つはサイズがちがうし……。もしかして、詩音。恋人と隠し子できちゃった?」 「ちょっ……葵!」 昼休み中の大学生たちが葵の無駄に大きい声に振り返る。 詩音は顔が真っ赤になっていくのが分かった。