喫茶の謎解き意地悪紳士2



「あなたがいたから、私は生きていけた。……愛しているあなたが幸せになれるなら私はあなたの踏み台でいい」

「……なに?そのセリフ。」

怪訝な顔で叶亜をみる葵。

叶亜は詩音のポケットを指差した。

「彼女の携帯電話のメモ帳に書かれていた言葉のひとつです。普段はいつも大人しい舞さんの本音が綴られたメモ帳。……おかしいんですよ。このメモ帳にあなたの悪口はひとつも書かれてない。ひどいことをされたのに、彼女はあなたのことを恨んでない」

詩音は舞の携帯電話を取りだし、メモ帳の欄をクリックした。

メモ帳には、舞の言葉にできない思いがたくさん書かれている。

葵はメモ帳に書かれた言葉ひとつひとつを見ていき、大粒の涙を流した。

こぼれた雫が携帯電話の画面を濡らす。