阿部は詩音と目が合うと、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべた。 「あ、阿部さん。この銃、返しておきますよ」 思い出したように叶亜が銃を阿部に返した。 先ほどの銃はきっと阿部から貸してもらった物だろう。 「お前、頼みがありますって言われて銃を貸すの、この世で俺くらいしかいねぇぞ」 受け取りながらブツブツ文句をいう叶亜。 「でしょうね。どこの刑事が一般人に銃なんて貸すんですか。さすが、アホの末裔、アベゾウです」 『アベゾウ』 その単語に吹き出してしまう。