「なんでこんなこと……」
「俺もやめろって言ったんだ。本当に彼女が犯人かどうかも分からないしな」
阿部が困ったように髪をかいた。
「葵はこんなことしてな……」
「まだ言うのか。君もしつこいな」
叶亜が箸で詩音を指差した。
「あの女の本性を思い知っただろ。せっかく僕が気づかせてあげたのに。あの女は、君がこのメールやホワイトボードに書いたって言われて簡単に信じた。……所詮、そんなものだったんだよ」
「……もしかして、あの人混みの中から聞こえた声は……」
「ご名答。あの女の本性を君に見せつけるためにね」
そうだった。叶亜は声を変えられるんだ。
前の事件の時も、家政婦の瑠花の声を真似していた。

