喫茶の謎解き意地悪紳士2



詩音は舞の遺体にもう一度向き合った。

恐怖はない。

あるのは、どうしようもない悲しみだけ。

叶亜には分かったんだろうか?

舞が死ぬ直前に何を思っていたかが……。

「舞……。必ず犯人を見つけてみせるからね。そして、葵の無実も絶対に証明してみせるから」

私は許せない。

葵を、舞をこんな風にした犯人が。

ぐっと唇を噛み締めると、窓から吹く風が詩音の髪をなびかせた。

それと同時に、部屋にいた黄色の小さな蝶が窓から外へと出ていった。