詩音は舞の遺体にもう一度向き合った。 恐怖はない。 あるのは、どうしようもない悲しみだけ。 叶亜には分かったんだろうか? 舞が死ぬ直前に何を思っていたかが……。 「舞……。必ず犯人を見つけてみせるからね。そして、葵の無実も絶対に証明してみせるから」 私は許せない。 葵を、舞をこんな風にした犯人が。 ぐっと唇を噛み締めると、窓から吹く風が詩音の髪をなびかせた。 それと同時に、部屋にいた黄色の小さな蝶が窓から外へと出ていった。