喫茶の謎解き意地悪紳士2



「一応、この現場での不可解な点はいくつか見つかりました。なので署に連れていってください。」

「署に?別にいいが、何しにいくんだ?」

不思議そうに聞き返す阿部に冷たい叶亜の視線。

「ほんとにアホの末裔ですね。捜査に決まってるでしょ。先、車行ってますね」

いつのまにか盗んだのか、阿部の車の鍵を指で回しながら部屋を出ていく。

「くそっ。あいつ、いつのまに……」

「阿部刑事。私も一緒に行ってもいいですか?」

悔しそうに髪をかきむしる阿部に詩音は言った。

「……わざわざ許可なんてとらなくても、あいつは詩音ちゃんも連れてく気だぜ?」

「私を無様な方向に導くためですよ。全く、人が真剣だっていうのに」

『手伝う』。それは事件解決のためではなく、はたまた葵の無実を証明するためでもなく、ただ詩音の無様な姿が見たいだけ。

本当に悪趣味。