「あーもう!」

…案の定、びしょ濡れである。

湿気で髪はボサボサになるし
低気圧で頭は痛いし
いいことなんて何一つないし…

雨なんて
「雨なんて嫌いだ…」

「おや、雨音ちゃんかい」

初老の、男性の声がした
最近では聞き慣れた声だ。

…独り言、聞かれてたかな。

「村上先生」

「びしょ濡れているじゃないか。
多分今日は雨で患者さんは来ないから…
早く 入りなさい。
あとこれ。よかったら使って。」

そう言ってタオルを渡してくれた。

…独り言は聞かれてないみたいだ。